Catuaí
タイ北部の主要産地であるチェンライ県では、かつてのアヘン密造地帯からの転換(王室プロジェクトなど)を経て、アラビカ種の高品質なスペシャルティコーヒー栽培が非常に盛んです。
その中でもCatuaí(カトゥアイ)品種は、チェンライの優れた標高と、近年の精選技術(プロセシング)の改良によって、国際的にも極めて高い品質へと進化を遂げています。
1. 品種の特徴と改良の背景
- カトゥアイ(Catuaí)の出自: ムンドノーボ(収量・樹勢が良い)とカトゥーラ(樹高が低く密植できる)を人工交配してブラジルで開発された品種です。もともとは「風雨に強く落果しにくい」「管理・収穫がしやすい」という生産性の向上(実用品種)を目的に作られました。
- かつての評価と変化: 誕生当初は「味はそこそこ(Good止まり)」と評されることもありましたが、適切な標高と最新の生産技術が組み合わさることで、ゲイシャ種を凌駕するような素晴らしいポテンシャルを発揮することが証明されています。
2. チェンライ産カトゥアイの「品質向上」の理由
タイ・チェンライのカトゥアイが劇的に品質を上げている理由は、大きく分けて2つあります。
① テロワール(環境適応)
チェンライのドイチャン(Doi Chang)、ドイパンコン(Doi Pankon)、ファイマイリアムなどの山岳地帯は、標高1,000〜1,400mに位置します。この十分な高地環境と豊かな寒暖差が、カトゥアイ本来の「洗練された甘みとクリーンな酸味」を最大限に引き出しています。
② 精選(プロセシング)技術の劇的な改良
チェンライの若手・新世代の生産者たちは、単にコーヒーを栽培するだけでなく、発酵プロセスの改良に力を注いでいます。
- アナエロビック(嫌気性発酵)の駆使: 密閉タンクで酸素を遮断して発酵させる「アナエロビック・ナチュラル」や「アナエロビック・ウォッシュド」などの先進的な精選技術が導入されています。
- フレーバーの劇的な変化: これにより、元々はマイルドで単調と言われていたカトゥアイから、ベリー、ピーチ、フレッシュな赤ブドウ、シナモンのような華やかで重層的なトップフレーバーが引き出されるようになりました。
3. 国際的な評価(COEの受賞)
タイでは最高峰のコーヒー品質品評会であるCOE(カップ・オブ・エクセレンス)が開催されていますが、チェンライの「SOFT Coffee Farm」が手がけるカトゥアイのナチュラルロットなどがCOE上位に入賞し、88点を超える高スコアで高額落札されるなど、世界中のバイヤーから注目を集めています。